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恐れ・畏れ!

救急指定の智頭病院当直は全科を担う!即ち、後期高齢者をも診る。と言っても、トリアージ、即ち、重大・重篤な病態を見逃さないことが責務!

(73歳半年を過ぎる)新年度から、当直が免除されることになった。
あと3か月・・・となって、「恐れ・怖れを抱いた!年頭所感「恐れ!」
​怖れを潜在し、安全・安心な救急診療を担う姿勢:度末まで、当直予定は16回(宿直)丁寧に努めます。

年頭所感・・・

◆ 昨年末の日直の際、80歳代の女性が息子氏に伴われ受診された。主訴は「胸が気持ち悪くて目覚めた」
病歴:高血圧、アレコレ・・・
来院時、歩容OK、笑顔+、構音OK、血圧、SpO2 OK、徐脈! 
胸部の不快感等は「今はない」と。
心電図:QT延長(症候群:後天性) 
前回心電図は約3年前:異常なし
息子氏:「以前にも同様の訴えがあり、胃腸炎だった。今回も」と。
​意識障害、心停止・・・:コトの重大性を話し、理解を得て、専門医紹介とした。

数年前、非智頭町在住の高齢女性:近隣町の内科医からの紹介例
「えらい」とのことで受診。2日前に餅つきをした由
心電図:非教科書!~緊急性ありと判断(トリアージ)し、鳥取市内二次病院の専門医紹介した。
が、「手に負えない」と、三次病院に転院!心臓冠動脈が3本とも狭窄し、順々に治療し救命!
後日談:同女性の娘さんから「命を救ってもらった!」との御礼~彼女は智頭病院の専門職だった。

自身のトリアージ例ではないが、学びの備忘録記載!
某消防士の男性:火災現場~「えらい」~救急受診~「煙を吸ったのだろう」(心電図検査なし)~個室入院~付き添いの妻が異変に気付いた。心筋梗塞~3次病院に転院~救命し得たが、無酸素性脳症~後遺症

​心原性のトリアージ例は、他には記憶なし!

当直における中枢神経系疾患のトリアージ例

慢性硬膜下血種は多い!
救急受診の訴えは多様:「箸を落とす」「茶碗を落とす」「呂律が回りにくい」・・・
丁寧に問診すると「頭をぶつけた」「転んで頭を打った」など、軽い例を含め、頭部打撲の病歴が得られる。→例外

頭部CT検査で「当たり!」
後期高齢者は、ほぼ大脳委縮がある。
いわゆる打ち所が悪く、頭蓋骨と脳表面の間の細静脈が切れて、動脈硬化の影響もあり、ジワジワと出血が続きます。
頭蓋骨と大脳の間の隙間に、血液成分が溜まり、大脳を圧迫するほどになって、病状が出るのです。
​頭部打撲から約3週間後の救急受診で「慢性硬膜下血種」を診断したのが最長例。

例外:自宅内で、起立困難に至り、来院時に微熱を呈していた後期高齢女性。会話(・構音)に支障がなく、や神経学的に明らかな異状所見がなく、頭部打撲なし。
 後期高齢者は感染症で、運動機能など、種々の不調を呈するのは常態。
 体温ほか、経過観察入院とした。深夜帯に平熱となったことで、頭部CT検査が必須と診た。
 結果、「慢性硬膜下出血血種」で、脳神経外科を有する基幹病院に(病状の空きを待って)転院となった。2023年晩秋
※ 頭部打撲の既往がなく、「慢性硬膜下血種」を診断したのは初体験でした。 

転じて、
後期高齢者の方が、頭部打撲で救急受診された際は、ご家族に、「慢性硬膜下血種」の可能性についてお話しします。
もしも、3週間以内に、「何か変・・・」と感じた際は、「慢性硬膜下血腫」を念頭に、受診してくださいと。

なお、
生後3-6か月の乳児でも「慢性硬膜下血腫・水腫」を診ることが(中央病院時代には)ありました。

​この頃の乳児は、頭蓋骨の発育が大脳の発育より先んじており、結果、頭蓋骨と大脳表面を結ぶ細静脈が、(気づかれない・気にならない程度の)頭部打撲で傷つき、出血することがあります。その勢いにもよりますが、通常は無症状で経過します。乳児健診で、頭位の成長曲線異常、つまり、急な成長を指摘され、頭部CT検査で「慢性硬膜下血腫・水腫」の診断に至ることがあります。幸い、頭蓋骨は各構成骨が発育が先行するので、症状はほぼ出ません。脳外科的治療は無用です。
​例外は、急な貯留により、大脳機能に支障を来し、痙攣発作等の症状を来す例で、脳外科紹介します。

​1歳前後からは頭蓋骨と大脳表面の隙間が縮小し、頭部打撲で、脳内出血を来すと、即時的に意識障害や痙攣発作を呈します。

​成人の頭蓋骨は、大脳~小脳を保護する頭蓋骨の各片が骨縫合しています。乳児期は頭蓋骨を構成する骨片は図の通りです。触って、柔らかい場所は大泉門で、成長と共に小さくなります。1歳半頃には、大泉門の蝕知は出来なくなります。

「意識障害」により救急車で搬入される後期高齢者
救急隊が搬入したら、詳細な病状経過、所見等の確認と同時的に、血糖測定を看護師に指示します。
血糖値が25mg/dl ないし 測定不能例が少なからずありました。
糖尿病の管理不良例です。
胃腸炎などで、飲食が少なかったのに、「インシュリン注射をしていた」・「血糖降下剤を内服していた」など、誘因は多様。
​そう言えば・・・、
最近数年間、こうした急患に遭遇していません。
糖尿病治療薬、管理の向上が図られているとの理解です。

などナド・・・
小児科医が全科当直を担う際には、緊急性、命~後遺症に係る病態、専門医に委ねるべき病態のトリアージが重要になります。

新生児~小児の救急対応の際、(一人小児科医の通常診療もですが、)緊急性、重篤に至る可能性がある病態のトリアージは、同様に重要です。
幸いなことに、
日ごろ、赤ちゃんを含め、子どもたちとの笑顔で、リラックスして臨むと、子どもたちは重篤な病態であるか否かを(重篤な病態が潜在しているか否かを含め)全身で示してくれます。
​要するに、小生と“遊んでくれるかどうか”・“笑顔で交流してくれるか否か”を診るのです。

赤ちゃんをリラックスした笑顔で見つめることが原点と言えますが、この診療姿勢ゆえに、ストレスは小さいとの自認です。

さらに、
保護者の方に、病態の本物を共有してもらい、病態が軽くて済むように、家庭看護支援について具体的に提案することでの安心も得ています。
​→[
家庭における実践的看護:見方・考え方

<質疑>
Q. 年頭所感は大いに参考になります。  ところで、宿直が免除になるから恐れを抱く?   何故に? 
A. 度末で、当直が免除になるとの安堵感が、トリアージミスに至り兼ねないこと、呑気な全科当直ではないとの自己啓発!
 周囲は「その歳で、よう当直をされますなぁ~!」との述懐は再々聞きます。
蛇足:自身が当直を辞することで、病院・智頭町(・鳥取県)も、いつまでも大谷頼みではない!との覚悟で新年度の内科医体制を構築することにならざるを得ない!との読みで、10月当初に、院長(→管理者)に意思表示した次第でした。

<質疑>
Q. 年頭所感は大いに参考になります。  ところで、宿直が免除になるから恐れを抱く?   何故に? 
A. 度末で、当直が免除になるとの安堵感が、トリアージミスに至り兼ねないこと、呑気な全科当直ではないとの自己啓発!
 周囲は「その歳で、よう当直をされますなぁ~!」との述懐は再々聞きます。
蛇足:自身が当直を辞することで、病院・智頭町(・鳥取県)も、いつまでも大谷頼みではない!との覚悟で新年度の内科医体制を構築することにならざるを得ない!との読みで、10月当初に、院長(→管理者)に意思表示した次第でした。

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